パステルについて

パステルは人生の明るい側面を表現するのに適し、油絵は人生の暗い側面を表現するのに適しています。

パステルで描かれたリアリズムや苦悩、戦争、抵抗、悲劇などをテーマとして描かれた作品は、パステル本来の魅力を半減させるものです。パステル画材は、愛、幸福、喜び、楽しさなどを表現したい時に使うと効果的です。

 

パステルは顔料粉と滑石(ロー石)をトラカガントゴムという水溶性糊で固めたものです。粉を固めただけのものですから。描くときれいに紙に乗ってくれますが、触ると取れてしまいます。パステルで描かれた絵には決して触らないようにしなければなりません。保存が難しいのです。

この欠点を補うため「パステルフィキサチーフ」と いう定着剤が開発されました。出来上がった絵にスプレーでシュッと吹きつけます。

さあこれですっかり固まってくれたと思って触ると、見事に取れてしまいま す。そこでさらに吹きつけます。触っても粉が落ちてこないようになって、あらためて画面を見ると、絵が暗くなっています。パステル画の魅力が無くなってしまいました。失敗しました。

それほどにパステル画の定着は難しく、いまだに解決されていません。将来完璧なパステル定着液が発明できたらノーベル賞ものです。

パステル画の保存は、パラフィン紙にはさんで立てかけたままにしておくか、額縁に入れるしか方法がありません。

パステルは手軽に素早く描くことが出来るので、浮かんだイメージを即座に具現化させることが出来ます。

しかも手軽に描ける割にはパステルは絵画全体における「地位」が高く、立派なタブロー(作品)として評価されます。パステルで塗られた面はビロードのように美しく、力強さは油絵に負けていません。

 

パステル(pastel)の語源はペースト(paste)に由来しています。

 

お互いに混ぜ合わせることが出来ないので、色が少ないとスムーズに描くことが出来ません。そこでたくさんの色数が必要となります。最低でも200色、欲を言えば500色あれば不自由ありません。 

パステルでは、油絵の苦手とするパールカラー的な彩色を行うことができます。霧に包まれた大気の中に朝の光が差し込むような幻想的な色彩効果を比較的容易に表現することが出来ます。

透明水彩の苦手とする【暗い背景】の絵も楽に描くことが出来ます。しかし細かい箇所を描くことが難しいので、細密画には適していません。

豊富な色数を生かして、パステルは古い壁画の修復にも使われます。固着力が弱いので原画を傷つけずに修復できます。

 

パステル画材だけでは表現力が不足することがあります。

そんな時には水彩や日本画絵具なども併用しましょう。

お互いの欠点をお互いが補って油絵以上の表現力になります。(逆に水彩画もパステルや色鉛筆で補助できます)。