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パステル

■パステル
 パステルとは、クレヨンから油分を引いたような棒状の絵具です。粉っぽくてサラサラしています。不透明水彩のガッシュを湿式とすると、パステルは乾式です。両者は似た特性を持っています。
 パステルは混色できないので色数が数百色もあります。パステルは顔料を糊(トラカガントゴム)で固めたものです。油絵具や水彩絵具と比べて顔料含有率が高いので、鮮明な発色が得られます。パステル棒を手にとって、直接色を乗せて描きます。描いた上から指などを使ってぼかすことも出来ます。
 パステルは主に紙に描かれますが、塗られた隙間から紙の白地が見えてしまって嫌われることもあります。そのような時に使われるのがカラーペーパーです。たとえばベージュのカラーペーパーには効率良く人物画を描くことが出来るでしょう。
 パステルの特徴に、濡れ色と乾き色の変化が無いことが挙げられます。水彩で色を塗ると、塗ったときは鮮明だった色が、乾いたら白っぽくなってしまった、という経験をされている方も多かろうと思います。油絵具でも乾いてしまうと、やや光沢が失われます。しかしパステルは濡れていても乾いていても全く同じ色です。濡れていながら乾いているといった方がいいかもしれません。
 パステルにはソフトパステルとハードパステルがあります。主な違いは、顔料を固める糊の含有率です。ソフトパステルの方が糊が少なく柔らかで鮮明な発色です。ハードパステルは糊がやや多い分、硬い分だけ細かな箇所を描くことが出来ます。四角い形をしています。ソフトパステルは主に美術用に使われ、ハードパステルは主にイラスト系で使われています。
 パステルの長所は、色彩が鮮明なことと、速く描けることです。欠点は、細かい箇所を描くのが難しいことと、保存が面倒なことです。固着力が極端に悪いので、触ると取れてしまいます。したがってパステル画を保存するには、ガラス入り額縁に入れておくか、作品をパラフィン紙で挟んで立てかけて保存します。
 パステルフィキサチーフという定着液があります。出来上がった作品にスプレーします。
 さて、これで触っても落ちないかと思って触れてみると、みごとに落ちてあわてます。ターレンス社製のパステルフィキサチーフは強力ですが、色彩が微妙に変化してしまいます。現在パステルフィキサチーフは発展途上で、完璧な製品はありません。
                  
 パステル特有の、濡れ色と乾き色の差の無さが人物画の描写を有利にします。
 油絵やパステルのような西洋画材は人物画に適し、膠彩(日本画)や水彩などの水溶性画材は風景画に適します。
 パステルは明るいテーマ(愛、幸せ、喜び)を描くことに適し、油絵は暗いテーマ(死、闘争、抵抗)に適しています。よくパステルで静物などがリアルに描かれた作品がありますが、あれは無意味なのもです。

 オランダ、ターレンス社のレンブラントソフトパステルが有名で、世界中で広く使われています。シュミンケ社のソフトパステルは最高級品で、少し乗せただけで、絵具が厚くごってりと乗ります。その分高価ですが。国産では、ゴンドラソフトパステル、ホルベインソフトパステル、ヌーベルカレーパステルなどが有名です。
 お勧めはアメリカ製の「ニューパステル」。ハードパステルのように細かい箇所も描けながら、ソフトパステルのような柔らかさを持っていて、描き易い最上のパステルだと思います。それと、ウィンザーニュートン社のソフトパステル。価格の割りに柔らかくて高品質です。